第5回「すた丼」〜男の美学・ニンニク臭〜

平成17年秋。東京六大学野球リーグ秋季大会において、我が早稲田大学は東京大学に負けるという屈辱を味わう。我がプロジェクトチームも、プロジェクトを一時中断し、神宮の杜に駆けつけた。第二戦は5対0と完封勝ちするも、第一戦の完封負けのうっぷんを晴らすには及ばない。第三戦は、少なくとも10点差をつけ、東大に勝たなければならない。そう心に決めたプロジェクトチームはスタミナをつけるため、すた丼に流れ込んだ。

服部は、実はすた丼に弱かった。すた丼に恐れ、主要取引銀行の茎、新入社員の井上は途中で力尽きてしまったほどだ。そこで、情報部からの引き抜き田野倉に加え、外商部から小野寺も呼び出した。ちなみにこの前日、この三人、服部、田野倉、小野寺は物品管理部の藤井と共に「二郎」に行っている。特に田野倉は日曜限定の塩の大盛を楽々制覇している。調整は上々だ。

また、この日は、服部らは朝飯を食ったのみで、昼間はほとんど何も食べていない。野球応援、しかも最前列のため応援団のすぐそばという厳粛な場では燻製卵やチーカマを食うのでさえためらってしまう。そのため胃袋は向かうところ敵なしだった。そこで服部と小野寺は、もともと食べたかった「冷やし坦々麺」と「ミニすた丼」を食べることにし、田野倉は「焼豚丼」と「ミニすた丼」を食うという暴挙に出ることにした。

しかしここで問題が起こった。なんと「ミニすた丼」と「すた丼」の値段が100円しか変わらないのだ。100円しか変わらないのでは大損だ。そこで計画を変更し、服部と小野寺はそれぞれ「冷やし坦々麺」を頼み、「すた丼」をひとつ頼みそれを分けることにした。しかし田野倉は何を血迷ったか「焼豚丼」と「すた丼」を頼むことにしたのだ。いくらなんでも三人で五人前はほとんど不可能だ。しかし現場主任の服部、「東大に勝つためにはやむをえない」。男たちの挑戦がはじまった。

↑左から、すた丼、冷やし坦々麺、焼豚丼。

プロジェクトは困難を極めた。漂うニンニク臭。このままでは明日、神宮に行って応援をした際、ニンニク臭のため応援拒否をされる可能性が出てきた。

実はこの前日、二郎を食べた後、小野寺の車で茎、現場副主任の西川をつれ、「東大戦壮行会」のため田野倉の実家・羽村に向かっていた。車の中にニンニク臭が漂い、翌日車のドアを空けた瞬間、二郎の香りが羽村の街を襲った。地元の人間は「二郎 羽村店」がオープンしたのかと勘違いをし行列ができてしまったほとだ。

紺碧の空を歌った瞬間、ニンニク臭の空になることだけは何としても避けなければならない。しかし、ここで食べ残しては東大に負けてしまう。服部は「明日の百より、今日の五十だ。今、目の前にある敵を倒せ」。男たちは胃袋の限界に挑戦した。

↑何とか完食。田野倉は呆然としている。

翌日、ニンニク臭による試合中止を避けるため、全員自宅にて謹慎した。我々の努力が実り、21対0で快勝した。自らを犠牲にしても早稲田のために戦う。これこそ、「男の美学」といえるであろう。

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