第16回「七福神」〜極(きわみ)〜

この日は、前から計画していた定期演奏会に行ってきた。実は服部は、高校生の時、一年間ちょっと吹奏楽部でパーカッションをやっていたのだ。夏のコンクールではシンバルの担当になり、来る日も来る日もシンバルだった。他の木管楽器の人とかは、細かいフレーズなどがあり、朝から晩まで練習することがあるが、シンバルは基本的にレパートリーが少ない。一日中練習していたが、今思えば、あれは山パンに近い。

さて、定期演奏会だが、吹奏楽団の友人とは、三年の時の英語の授業で一緒だったのだが、その英語の授業はスピーチをやる授業だった。その授業で、ある日、リンカーンのゲティスバーグをやることになった。教授が、
「みんなみたいに若い人なら、一週間もあればおぼえられるでしょ」
と言っていた。それは無理だろうと思いながらも一週間が経った。

一週間後、学籍番号順に発表することになったが、最初の人はスクリプトを持参して、やったが、ほとんど覚えておらず、また、発音も不正確だった。見かねた教授が、
「まだ覚えていないの?」
と聞いて、途中で止めた。
「じゃあ、来週ね。それじゃ次の人」
と言って、次の人を指すが、次の人は
「まだ3分の2くらいしか覚えていません」
と言うと、
「じゃあ、次の人」
と教授が、次の人を指名すると、次の人も
「3分の2しか」
と言った。すると、次の人も、その次も、そのまた次もみんな、
「3分の2」
といい、学籍番号が後ろの方の服部まで、一気に来た。教授が
「じゃあ、服部君。覚えた?」
と聞かれ、服部は、
「たぶん」
と言った。本当は、既に二年前にコンプリートしている。しかし、英語部の人間とばれたら、これからの授業で指されることが増えそうだし、評価が厳しくなると思い、謙遜していた。服部は、ステージに立つと
「今日、のどが痛いから、うまくいくかわかりません」
と言った。もちろんうそである。

"Four score and seven years..."

服部は、英語部の中でも、見せないくらい本気でやった。皆が、スクリプトを覚えていない状態なのに、完璧に覚え、かつデリバリーまでやっている。内心おかしくて笑いをこらえるのが必死だった。

"shall not perish from the earth"

と言い終わると、あたりが静かになった。そのまま席に座ると後ろの方から、
「すごすぎる」
と聞こえた。200回は読んだわけだ。笑いをこらえるのが必死だった。ごまかすために、咳をした。

その授業では、英語部であることを隠し通したが、應援部の彼は、
「てか、WESAだよね?」
と聞いてきた。
「俺も最初の頃、いたんだ」
と言っていた。彼にはバレていた。

さて、定期演奏会も終わり、馬場まで来た。ネタがない昨今、やはりここは大食いを入れておくか。ということになり、プロジェクトチームは大食いに再び挑戦することになった。今回の対戦相手は「七福神」の「極(きわみ)」。いかにも服部が好きそうな名前である。服部は、「最高峰」や「匠」という言葉が好きである。メンバーは、藤井、小野寺、服部の三人である。

ちなみに、この店は普通盛りが、他店の二倍らしい。中盛り、普通盛りの1.5倍は無料でできるので、得だからということで、中盛りを頼むのは危険である。中盛りでもかなりきつい。ところが、極(きわみ)は、普通盛りの4倍である。実に他店の8倍だ。最近、視聴者から、
「大食いをやるのはいいですが、ホームページの写真だと、いまいち迫力がつたわってこないんですよ」
という声をいただいた。そこで、今後は、参考として、普通盛りと大盛りを頼むことにした。まず、つけだれがきた。。

説明するまでもないが、右が極(きわみ)用。少し、大きさが違う。つづいて、服部の普通盛りが来た。

そして、小野寺の極(きわみ)が来た。あまりの大きさに、ピントが合っていない。、

視聴者の方から、二つの大きさを比べてほしいというハガキをいただいたので、ふたつを並べる。これは笑うしかない。本当に食えるのか。

これは、かなりきつい。服部は、普通盛りでもぎりぎりだったが、極(きわみ)を頼んだ小野寺は全く減らない。絶対食べきれないと見た瞬間にわかる量だった。会話がなくなる。小野寺は、挑戦しなかった服部らに不満気味だった。しかし、服部は、
「本当は注文したかったけど、視聴者が」
と言うと、小野寺は、
「じゃあ、これ食べてよ。」
と言ってきた。服部は墓穴を掘った。三人で食べたが、普通盛りの二倍程度の量を残したところで、ついにリタイヤした。
これは、絶対に食べきれない。

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