第27回「メルシー」〜和洋折衷〜

「メルシー」。日本語だと「ありがとう」で何ともしまりの悪いネーミングになってしまう。フランス語だと何故かかっこいい。アメリカ人はフランス語にえらくあごがれるものだ。「私はフランス語ができません」とフランス語で言うだけで、かっこいいと思われるようである。ちなみに、服部は、第二外国語で中国語(第22回「ママキムチ」での朝鮮語は第三外国語)を選択していたが、必修の中級中国語で先生の言っていることはほとんどわからず、かなり苦労していた。その授業で何か中国語を話せと指されたとき、周りのものは趣味や、前日にあったことを散文風に話している中で、服部は「私の中国語は上手ではありません」とだけ中国語で答えたことがある。その後、何か中国語で言われたが、何を言っているのかわからず、笑ってごまかした。ちなみにその授業は「優」が来た。

だが、フランス語の看板をつけるにはいささか不釣り合いだ。店内はフランスとはほど遠い。そんな疑問をもっていた服部が
「フランスか・・・」
と言うと主要取引銀行の頭取、九鬼はこういった。
「まあ、待て。服部さんはフランスに行ったことはありますか。」
「いえ。」
「じゃあ、駄目ですよ。ただ確かに、私の祖先はブルボン家と業務提携を結んでいたので、フランスの国土の半分は私の領土ですが、そこの雰囲気とは確かにここの店は違います。しかしながら、私はこのお店のすばらしさを感じます。この「メルシー」は多くの早稲田生が来店したことと思います。彼らの多くは、この店で世界にあごがれ、その後社会に出て、活躍されていると思います。しかし、どんなに立派になっても、感謝の気持ちは忘れてはいけないと思うのです。このお店も、当時からよくあこがれていたフランスを想い、そんなお店にしたいと考えていたと思いますが、しかしどんなに立派なお店になっても感謝の気持ちを忘れたくないと思い、この名前を付けたのだと思いますよ。外見は洋風でも、決して日本的精神を忘れないまさに究極の和洋折衷ですね。」

さすが、九鬼頭取。
「ところで、服部さん。そろそろこのプロジェクトチームも時代の流れに合わせてM&Aをしてみてはいかがでしょうか。ちょっと最近、更新が遅いので、業務の効率をあげるべく、他社との業務提携をおすすめします。」

「おっしゃるとおりかもしれません。ちょっと考えてみます。」

実は、最近、更新が遅れているプロジェクトチームに対し、六月の株主総会で批判が出ていた。プロジェクトチームは、この危機を業務提携という方向で乗り切ろうとした。プロジェクトチームの新たなる挑戦が始まる。

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