第23回「マリモ」〜脱早稲田宣言〜

かつては薄暗かった「マリモ」の前をふらふらと歩いていると、やたらきれいになっている。「脱早稲田宣言」かと思い、小野寺と服部は、早稲田のイメージを残すよう、店主を説得するべく店に駆けつけた。中にはいるとかつての趣はいっさいない。かなりきれいだ。

小野寺はバンブー丼を。服部はもちろん生姜焼きを頼んだ。

服部が生姜焼きが好きなことはあまりにも有名だが、この日服部は、そのこだわりぶりを小野寺に解説した。「生姜焼きというのは、生姜の味がしっかりと出ていないといけない。たれは、若干のとろみがでるくらいでないといけないが、しっかりと肉汁も合わせること。タマネギを、豚肉が赤いうちに同時に炒めると、豚肉が堅くなるのでいけない。タマネギは、飴色になるまでいためるが、しっかりと歯ごたえがなくてはいけない。あまり強く炒めると、タマネギの繊維が崩れるてしまうが、しっかりと炒めること。肉がやわらかく、タマネギは自然な甘みがあり、そしてたれは、生姜の味がでるために、気持ち辛いくらいがいい。」と力説した。小野寺は聞いているふりをしていた。

さて、小野寺のバンブー丼が来た。服部は、「ああ、バンブーってタケノコのことか。てへ」と言っていた。英語部に所属している上に、野球応援で、竹内選手を武内選手と区別するため「バンブーたけうち」と呼んでいたにもかかわらず。

服部の生姜焼きが来た。店主に先ほどの力説が伝わったのか、生姜が利きすぎている。からい。からすぎる。服部は、言葉を失った。竹内選手に対する不敬の天罰か、はたまた、デニーズで自己流生姜焼きを作っていた天罰か、これは辛すぎる。服部の挑戦が始まった。

だが、店は正直キレイな方がいい。帰り道に大藤に会った。辛すぎたせいで何も話せない。おそらくたまたま生姜を使いすぎただけだっただろう。

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