第6回「熊ぼっこ」〜伝説の定食屋・いざ挑戦〜

伝説の店「熊ぼっこ」。プロジェクトチームが発足した当初からそう言われてきた。早稲田通り沿いにあるその店は、「高田馬場で一番まずい」と主張している。店はこれぞ高田馬場というほどの「清潔」さ。それにもかかわらず客の足が絶えない。しかも24時間営業。夜中の三時にもかかわらず、店は大入り。だが、われわれプロジェクトチームの誰一人としてこの店に挑戦しようとするものがいなかった。その存在感が圧倒的だったからだ。



「あの店を制覇するなんて100年早い」服部は入社して間もない頃、乾に言われた。だが最近、その乾が渡米することになり、服部は乾に呼び出された。「熊ぼっこは強い。しかし、俺がアメリカに行く前に、あの店に挑戦してくれ。もちろん難しいことはわかっている。だが、どうだ?」。「やります。」即答だった。実は服部、密かにこの店を調査していた。普段のプロジェクトを行いながらも、それが終わった後、いわゆる「闇研」をしていた。「熊ぼっこ」が24時間営業だからなせた業だ。「あとは頼んだ。」そう言って、乾は去った。

だが、敵を調査していたからこそ、服部はその困難さをよく知っていた。本当にやれるのか。しかも、田野倉が「すた丼」で倒れてしまい、この日はいなかった。浜本もカマンベールで倒れて以来、回復の見込みがない。これ以上メンバーを失うわけには行かない。服部は、最少人数で挑戦することを決めた。だが、誰を連れて行くか。服部は社内でメンバーを募った。外商部の小野寺が手を挙げた。小野寺にとって「熊ぼっこ」は入社以来のあこがれ。いつか制覇したい、そう考えていた。服部は言った。「本当にいいのか。最後の晩餐になるかもしれないんだぞ」。「死して屍拾うものなし。熊ぼっこで倒れたら、本望です」。小野寺は万が一のために家族に電話を入れた。家族は止めた。「無茶はいけない」。かつての家族との思い出が走馬灯のようによみがえる。だが、小野寺はすぐに覚悟を決めた。家族の制止を振り切り、電話を切った。



服部の調査によると、サービスタイムがあり、ラーメン一杯が280円の時がある。そのときがチャンスだ。看板にはこう書いてある。「安すぎて味がだいじょうかしんぱいだ」。服部らは入り口でためらった。しかも問題が起きていた。

なんと看板が壊れて、新しい手書きの看板になっている。調査が不十分だったのか、予期せぬ事態、これから何が起こるかわからない。だが、ここまできたら、もう戻れない。

店に入って席に座ろうとした瞬間、床が沈んでいて、服部は足元をすくわれた。やはり無理なのか。床が沈み、テーブルも傾いている。(↓テーブルの写真)



服部はラーメンとぎょうざ。小野寺はチャーハンとつけめんを頼んだ。すぐに来た。



↑上。左から、チャーハン(スープが付く)。右はラーメン。
↓下。左からつけめん、ギョウザ。一番右は、チャーハンのスープとつけめんのつけ汁。



はたして、チャーハンのスープとつけ麺のつけ汁は違うのか・・・小野寺はふと思った。飲むとちゃんと違う。「おかしいぞ」服部は思った。ラーメンを恐る恐る食べてみた。「まずくない」。看板はうそだったのだ。服部らは調査を終え、乾に報告した。乾は言った。「高田馬場の店は見かけだけで判断してはいけない。先入観。これが一番の敵だ。本当の敵は外ではなく、自分自身にあるのだ。俺が言いたかったのはこれだ。これでアメリカにいける。後は頼んだ。」

服部は100年早いと言われた理由がわかった。早稲田、高田馬場の店を制覇するにはまだまだ勉強が必要だ。プロジェクトチームはまたひとつ成長した。

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